「東京って意外におしゃれな人いないよね」
…こういうこと、地方から出てきたオシャレさん言いますよね。
「凄いって聞いてはるばるやってきたんだが…大したことないじゃねーか、ガッカリだぜ!」ってバトル漫画のキャラが言いそうな台詞を、地方から出てきたオシャレさんが言いがち。
そりゃあんた、東京は母数がでかいんだから。新橋も池袋も上野も全ておしゃれなわけがない。
ついでに言っておくけど、フランス人も言うほどみんなおしゃれじゃないぞ!
地方から、東京の学校に通った方に共感してもらえると思うんですが。
大学の新入生が集合したとき、妙におしゃれで目立つ人って、地方出身者(かつ浪人生率高し)が多いんですよ。
私が通っていた大学でもそうでした。おしゃれさで目立つ子って、ほぼ地方出。
なぜか?
その答えは、先日話題になった記事「東京にセレクトショップはない」に通ずるものがあると思います。
参考記事(外部記事):「東京にセレクトショップはない」
地方の狭さ故、おしゃれ野郎が一極集中
東京の方が店も、物も人も多い。
街も多いし人も多くて、刺激も誘惑も多い。何もかも多いのが東京。
なのに、何故地方出身者の方が、結果として「おしゃれ」なのか。
それは、地方都市にいたからこそだと思います。
地方都市というのは、東京に比べて、店が無い。
仙台、名古屋、京都、神戸、広島、福岡…。
大阪は、いまや結構お店がありますけど、それでも東京と比べれば少ない。
直営店が無いとなれば、どこで服を買うのか。
小規模なブランドを買うには、地方のセレクトショップが頼みの綱です。
この、頼みの綱のセレクトショップや、おしゃれ繁華街の外れにあるような直営店の存在こそが、地方でおしゃれに興味のある人のレベルを、早くから妙に上げてしまうと私は考えます。
無駄な選択肢が無い方が、最初はいい
はっきり言って、地方は選択肢が圧倒的に少ない。
店もねえ、入荷もねえ!おしゃれな奴だって少ねえ!ってね。
東京と比べると圧倒的に選択肢が少ないのは事実で、それを悔やむ人も多いと思う。
だけど、これはそんなに悪いことでもないと思う。
むしろ、助けられている部分もあると思うのだ。
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どのブランドも、全てのシーズンが素晴らしく、全てのアイテムが素晴らしいわけじゃない。
目の前に選択肢が多ければ多いほど、人は誤った選択をする可能性が上がると思う。
セレクトショップにはバイヤーの人が、選んできたものが入荷する。
それは地方でも東京でも同じです。
バイヤーが、自分の店で売れそうなもの、売りたい!と思ったものを展示会で選んでくるのです。
セレクトショップは本来、おしゃれバイヤーのフィルターを通したものが売られる場所。
だからこそ、”セレクトショップ”という名前なのだ。
セレクトショップバイヤーへの道―世界を視点に活躍するオーナーバイヤーが明かす
繰り返すけど、地方には選択肢が少ない。
街にある一つのお店でしか、特定のブランドが買えないなんて、地方ではよくあること。
だからこそ、セレクトショップがおしゃれの主権を大きく握る地方では、セレクトショップのセレクトは東京のそれよりも意味が大きくなってくる。
バイヤーのおしゃれ関門を突破してきたものだけが、そのブランドの商品として地方に入るのだから。
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おしゃれバイヤー的に「無い」と思われたものは、良くも悪くも地方の土地を踏むことはない。語弊はあるけど、そのブランドの”今季物”から除外され、ないものとされる。
そうやって集められたアイテムたちが、地方のセレクトショップにて販売される。
店のテイストや方向性に合ったものたちが、バイヤーの目と手を使い、集まってきているのだ。
…もうこの時点で、地方の人間に失敗が少なくなることはおわかりだろうか。
入る型も数も少ないかもしれないけど、 バイヤーが選んできてくれている結果で。
これは、悪い点にもなりうるけど、初心者にとっては良い点だと思う。
だって、少なくともバイヤーにとって「無いわ」ってものは、入らないんだぜ。
考え方は色々だろうけど、失敗の可能性が減ってる気がしませんか。
セレクトショップ運営入門―店の個性を生かし続ける48のキーワードと実践術
バイヤーによって選ばれるわけだから、地方だと、ブランドの特色やイメージみたいなものがセレクトショップによってコントロールされちゃう側面はある。
だけど、これはセレクトショップを通す以上仕方の無いこと。セレクトショップの面白みでもある。
おしゃれパイセンがそこにいる!
身近におしゃれな人がいるかどうかも、若いうちは重要だと思います。
おしゃれな人を写真で見るだけと、生で見るのは全然違う!
繰り返す、全然違う!!
地方だと、雑誌のスナップに載るのって、地元のおしゃれ番長的セレクトショップの店員か、そこの顧客率が高い。
だからこそ地方は、スナップされる”地元の星”に、割と簡単に会えるし、話もできたりもする。
地方は、選択肢がないが故に、おしゃれな奴が集まる店が限られる。
初心者から上級者まで、ある程度の物を買おうと思うと、行くところは決まってくる。
初心者からすると、上級者に触れる機会が嫌でも生まれるのだ。
雑誌のスナップで見た人や、学校や近所にはいないレベルのおしゃれな人に触れてしまえる!
近くに目標や憧れができるというのは、若輩者にとっては良いことです。
「おしゃれになりたい!」と考える者にとって、こういう出会いは、より一層おしゃれに対する憧れや意欲を強くすると思う。「ああなりたい!」と、おしゃれ炎を燃え上がらせるきっかけや原因にもなる。
憧れの存在が店員なら、もうね。
カリスマ店員ブームってあったけど、もう自分にとってのカリスマ店員よね。今風にいえば”神”か。
その人の着ているものや、その人が勧めてくれる物を買えば間違いない!みたいになっていく人もいるだろう。
で、その人も鬼じゃなきゃ、きちんと人に似合うものを選んでくれる。
明確な目標や、憧れのスタイルが確立しやすい。
買い物する際の選択肢も、地元のおしゃれパイセン達によりグッと絞られている。
小規模なセレクトショップだと、店員と客の関係性も近くて、より親身に色々と教えてくれたり考えたりもしてくれるだろう。
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若いうちにファッションに興味を持ったとして、地方の人間の方が意外なことに「おしゃれ」になりやすいと思うのは、こういうことじゃないかと思います。
おしゃれになるための道が、良くも悪くも地方の方が、わかりやすく用意されていると思う。
興味さえ持てば、敷かれている成長ルートを発見するのは簡単というか。
店も少なく入荷する物も絞られ。
ショップ側におしゃれへの道をナビされている部分が、地方の方が大きいと私は思う。
東京は、初心者には選択肢が多すぎると思う。
近くに一緒におしゃれを楽しめる友人や、目標になるような人とか、いい指標があれば別だけど。
私も地方出身で、特定のブランドを買うには特定のセレクトショップに行くしかなかった人間だからこそ、思う。
東京に生まれて育っていたら、今の自分になっていたとは思えない。良くも悪くも。
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”界隈”も度を超えると、宗教的で
昨日の私の呟きを引用しますと…
「東京にセレクトショップが無い」わからんでもない。地方のオーナー色が強い独自店に比べるとね…っていう点では。でも地方のそういう店って、教祖(オーナー)と信者のような店員と顧客の関係性があったりして、なんか独自のファッション村みたいになっててちょっと怖い。
— foundation_garment (@fdgm_blog) 2014, 10月 2
…こう思っているのも事実。
ちょっと、”村”みたいになっている部分もあって、”お客様”からすると、ギョッとすることも多々ある。
店の個性が強すぎて、合う・合わないも出てくる。
特定のブランドが好きでも、取り扱い店が苦手・合わないってやつね。まあ、それも店の個性だ、仕方が無い。
上にも書いたけど、東京の本店・直営店と地方のセレクトショップでの、ブランドのイメージや取り扱いの違いに、色々と驚くこともある。
それはセレクトショップを通す以上は仕方の無いことなんだけれど。
大きな違いが生まれていることも、ある。
地方の人で、地元のセレクトショップで見たり買ったりしていたブランドを、東京の本店・直営店に行って見てみたら…。品数の多さ云々よりも(なんか思っていたのと違う…)って感じちゃったという経験がある人も、少なくないと思うのです。
私は東京が怖くなったよ
実は私は、東京に出てきてすぐ、東京で買い物が出来なかったよ…(しょぼん
半年位、長期の休みに地元に帰って、地元の水が合う店で買ってた。チキンでしょ?
古着とか安い物は東京でも買えたけど、コレクションブランドは、東京には思った以上に種類があった。ビビッた。今みたいにネット上にファッションの情報は豊富じゃなかったし、とにかく驚いた。
高価でそうそう買えないし失敗が怖くなったというのもあるけど、オシャレな人や物が多すぎて、自分に自信もなくなった。
正直、地元で調子に乗っていたのだよ。
自分で選んで洋服を買っておしゃれしてたつもりだけど、見えない力がすごく働いていたんだな…と、ハンガーやポリエステルにボコボコにぶん殴られた気持ちになった。
井の中の蛙、という言葉を、ここで身をもって痛感した。
地方には地方の良さがある
別に東京がどうとか地方がどうとかって話じゃなくて。
それだけ、地方のセレクトショップというのは、影響力が大きいと思う。
今はインターネットもECサイトも豊富で沢山の情報が得られるけど、やはりリアルに勝るものはない。
セレクトショップの醍醐味というのもそこだし、店のフィルターを通して初めてブランドの魅力に気づくことすらある。直営店や本店よりも魅力引き出した提案してんな…と感心する店も、たまにある。
地方の(地元の)セレクトショップを通して買う意味を少し考えてみてほしい。
地方にいることは、必ずしも不幸ではない。むしろラッキーかもしれない。
選択肢が少ないというのも、悪いことじゃあないのだ。
何事も最初は肝心。ある程度の見る目と、自分を確立するまでって、大事。
何事もある程度までは、明確な目標やイメージみたいなものを持ち、誰かに教えてもらっていくほうが、道を踏み外しにくいし効率も良い。
地方の選択肢の少なさが、「おしゃれさんへの過程」を見つけやすく、歩みやすくしてくれてる部分はあるよね、って話でした。
…長々とお付き合い、ありがとうございました
ブルテリア
初めてコメントします
愛読者のアラサー男です。
知り合いから紹介されて以来、愛読しております。
ファッション系のブログは色々ありますが、読み物として非常に面白いです。
読みやすくてわかりやすいので、長さも苦になりません。
情報というより、もはやエンタメです 笑
上から目線や格好付けや気取ったところが文章にないのは、人柄でしょうか。
おそらく非常にオシャレなのに卑屈なキャラクターの著者さん。
僕は著者さんという人間が非常に気になります。
chanboo(管理人)
はじめまして!いつも愛読ありがとうございます。
面白い、読みやすいなどと言って頂けるのは、非常に嬉しいです。
ファッションの素晴らしさを伝えよう!とか高尚なものではなく、ファッションのためになるちょっとした情報を提供したり、肴にして楽しもうというのが主旨に近いので…。エンタメと言って貰えるのは、とても嬉しいです!
私という人間にまで興味を持って頂き、ありがとうございます。
でも文章に全て滲み出ていると思うので、感じていらっしゃるものが私なのだと思います。おしゃれかどうかは怪しいですが…笑
ゆじ
こんにちは!
地方の個人ショップの影響力はすごく頷ける話でした。
関西は個人ショップが複数あって、どこかに入れ込むか、複数ショップの影響が入り混じってオリジナリティを得られるかという不思議なエリアになってます笑
ちなみに、東京における読モの存在はどうなんでしょう?
地方者なのでわかりませんが、近しいファッションリーダーとして地方ショップと似たような役割を持つように僕は考えましたが、どうでしょう?
chanboo(管理人)
こんにちは!
地方って本当にセレクトショップの影響力は大きいですよね。
その人のコーディネイトや雰囲気で大体買い物はどこ派かわかるというか…笑
読者モデルは、”読モ”というジャンルのタレントに近いかも…です。
固定ファンがいて、お金とってイベントをしたりしている人もいますし。
「ああいう風になれそう」という意味では近いですが、意外に雑誌やイベントでしか遭遇できないんじゃないでしょうか?
地方のスナップ常連ショップ店員らほど、リアルな存在じゃない気がします。
読者モデルにも色々なので、線引きが難しいですが…。
いま10代の若い子にとっては、そういう文化の中で育っているので、ファッションリーダー的存在なのかもしれませんね。